社会・経済のうごき@しんぶん
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2012年06月12日号

中国、日本国債の保有を拡大

財務省・日銀の国際収支統計によると、中国の日本国債保有残高は2011年末時点で約18兆円に上り、前年比約70%強も増加していることが分った。海外諸国での日本国債の保有残高は前年比27%増の約92兆円で、中国が2割近くを保有している実態にあり、2010年以降、中国が日本国債の最大保有国となっている。欧州債務危機の拡大によっては、中国は一段と円資産へのシフトを強めるものとエコノミストは見ている。



保証融資で「国の全額保証」実績は7割

中小企業庁がリーマンショック時に導入した中小企業向け緊急信用保証制度で、融資が焦げ付き、国が全額を代位弁済した額は2011年度に6400億円に上ることが国会資料で明らかになった。信用保証制度は中小が融資を受ける際に信用保証協会が融資資金を保証し、通常、焦げ付いた際には国が8割、金融機関が残り2割を負担するが、緊急保証制度では、全額を国が保証するとしていた。民間金融機関でのリスク負担がないため、破綻懸念先にも安易に融資していた可能性が出てきた。



損保の収入保険料は15カ月連続増に

大手損保5社の発表によると、5月の保険料収入の合計額は前年同月比4%増の4903億円となり、15カ月連続で前年実績を上回ったことが分った。東日本大震災の発災を反映して火災保険や地震保険の販売が好調だったことに加え、エコカー補助金による新車販売の急増により自動車保険や自動車賠償責任保険が大きく伸びた。とくに、収入保険料の半分を占める自動車保険は3.8%増加し、自賠責も10%前後増やした。



日本の社長の報酬は欧米の10分の1

コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパースのまとめによると、日本の上場企業の社長の平均報酬額は約6000万円であることが分かった。欧米の同規模の企業と比較してみると、10分の1の水準にとどまる実情にある。日本企業で年間報酬額が最高額だったのは、日産自動車のカルロス・ゴーン氏の9億8200万円だった。



昨年の出生数は過去最低の105万人に

厚生労働省は2011年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は前年と同じ1.39にとどまったと発表した。また、出生数は約105万人で、戦後最も少なかった2005年の約106万人を下回り、過去最低となった。こうした出生率の低迷や過去最低の出生数の背景には、晩婚化や出産をためらう保育所不足による子育て環境の整備不足がある。ちなみに、昨年の婚姻数も戦後最少の66万2千組だった。



エコカー補助金、想定より2か月早く終了

エコカー補助金の申請を受け付けている次世代自動車振興センターのまとめによると、6月1日までの申請台数は151万2100台で、申請額は1431億円に達することが分かった。エコカー補助金は燃費性能の高い自動車の購入者に10万円(排気量660cc超)または7万円(軽自動車)が交付される。1週当たり約150億円での申請ペースが続いており、総額2747億円の予算枠は想定より2か月早い7月末には達する見込みである。



65歳までの雇用義務化に賛成は半数

日本経済新聞社の調査によると、政府が法案を提出している希望者全員の65歳までの雇用義務化についての賛否を尋ねたところ、約半数が「賛成」(48.8%)と答え、「反対」(15.4%)を上回ることが分った。賛成理由に「無収入・無年金では生活できない」「60代はまだ若い」「60代は優れた技術・ノウハウを持つ」などが挙げられ、反対理由には「若者の採用が絞られる」などがあった。



80歳で「自分の歯が20本以上」は4割

厚生労働省の「2011年歯科疾患実態調査」によると、80歳で「自分の歯が20本以上残っている人」の割合は38.3%に達し、過去最高になったことが明らかになった。6年に1度行われる調査で、前回の24.1%を大きく上回った背景には、歯周病の治療や周知が進んだものと同省では分析している。



日銀、保有国債が紙幣残高を上回る

日銀金融政策決定会合で、今年年末での国債保有残高が92兆円に達し、銀行券(紙幣)発行残高は83兆円となり、保有国債が紙幣残高を上回ることが明らかになった。金融緩和政策により銀行が保有する国債を購入していることが背景にある。白川総裁は、「限度を超えて国債を購入し続ければ景気にも金融システムにも悪影響が及ぶ」との警戒感を示し、国債が市場からの信認を失い、国債価格が暴落(長期金利は上昇)することの危惧を表している。



火力発電比率が8割近くに急上昇

電気事業連合会の発表によると、2011年度の発電電力量の10社合計は前年度比約5%減少の9550億キロワット時となり、このうち火力発電分は同約21%増の7536億キロワット時もの大幅な増加となったことが分った。火力発電分は発電電力量の79%にも達した。一方、原子力発電電力量は同約65%減少の1018億キロワット時にまで減少し、これを補う構図で火力発電が急増しており、今後、火力発電における液化天然ガス(LNG)などの燃料費が電力各社の経営の重しとなることは避けられない。



違法ダウンロードに最大200万円の罰金

今通常国会で成立する見通しとなった著作権法改正で、海賊版と知りながら音楽や映像などをパソコンやスマートフォンにダウンロードした場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰則が適用される。これまではインターネットにアップロードした場合のみ罰則が科せられていたが、今回の改正でダウンロードも違法として罰せられることになる。日本レコード協会の調べによると、年間43.6億件もの楽曲の違法ダウンロードがあるとされている。施行は10月1日からとされている。



「精神疾患」での労災申請、過去最多に

厚生労働省の集計によると、2011年度に過労やいじめなどの職場での対人関係トラブルでうつ病といった「精神疾患」を発症し、労災申請した人は過去最多の1272人に上ることが明らかになった。申請は3年連続で過去最多を更新し、労災として認定された人も325人で過去最多となった。また、自殺(未遂を含む)による申請者も202人に達し、過去最多と深刻な状況にある。



来年度、傷害保険料は1割アップ

損害保険料率算出機構は2013年度の傷害保険料の目安となる「参考純率」を平均15%引き上げたことを発表した。参考純率の平均引き上げ率の内訳をみると、普通傷害保険が17.4%、国内旅行傷害保険が20.7%、海外旅行傷害保険が8.8%、とそれぞれ引き上げとなる。これを受け、損保各社は自社の傷害保険の保険料の見直しに入ることとなるが、各社の平均引き上げ幅は1割前後になるものとみられている。



高齢者、働きたいものの就業率は低く

閣議決定された「2012年版高齢社会白書」によると、60歳以上の71.1%が「70歳以降まで」または「働けるうちはいつまでも」と高い就労意欲を見せている一方で、65~69歳の就業率は36.3%にとどまり、70~74歳では22.8%と低迷し、就業意欲と実態のギャップを浮き彫りにした。また、高齢者が仕事を選択する際に重視することは、「収入(賃金)」が16.6%で5年前の前回調査から6.5ポイント上昇していた。



生活保護者数、9カ月連続で最多を更新

厚生労働省の発表によると、3月時点で生活保護を受給している人は210万8096人に達し、9カ月連続で過去最多を更新していることが分った。昨年2月に200万人を超え、同7月には過去最多だった205万人を突破していた。この1年だけをみると、約9万人近く増加しているが、背景には高齢者の増加に加えて、働ける世代でも失業を理由とした受給者が増えていることも挙げられている。



スペイン、人もマネーも流出

スペイン中央銀行の統計によると、今年1月~3月までに国外に流出したお金から流入したお金を差し引いた金額は971億ユーロ(約9兆7000億円)もの流出超過となっていることが分った。また、国家統計局によると、国全体の人口も今年1月の4620万人をピークに減少するとともに、国内事業所数も3年連続で減少している。経済危機が資金流出と移民増加を生んでいる。



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