社会・経済のうごき@しんぶん
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2012年07月17日号

中国、成長率8%の大台割り込む

中国国家統計局の発表によると、2012年4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比7.6%増になったことが分った。6四半期連続での成長率が低下し続けており、3年ぶりに8%を割り込むことになった。中国の成長率の減速の背景には、欧州債務危機による輸出鈍化に加えて政府の住宅市場への引き締め策といった2つのブレーキが作用している。世界経済をけん引してきた中国の経済減速で日本の対中輸出鈍化も危惧されている。



イタリア国債、2段階格下げへ

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスはイタリア国債格付けをこれまでの「A3」から2段階引き下げて「Baa2」とすると発表した。ギリシャのユーロ離脱が現実視され、スペインの金融機関の不良債権損失も拡大する見られる中、イタリアが財政資金を市場から調達するコストが急激に上昇するものとみている。イタリア国債格付けは上から9番目となり、ユーロ圏第3位にある経済大国のイタリアの格下げで、ユーロ危機が深刻な事態にあるといえる。



上半期倒産件数、過去20年で最少に

東京商工リサーチは、2012年上半期(1~6月)の企業倒産件数は前年同期比3.3%減の6311件になったと発表した。上半期としては3年連続の減少で、過去20年間で最も少なかった。負債総額では製造業で過去最大となったエルピーダメモリの経営破たんが響き、同20.5%増の2兆76億円となった。倒産件数の減少の背景には、中小企業円滑化法での返済猶予が奏功したのに加え、東日本大震災での本格的な復興需要があると同社では分析している。ただ、円滑化法が来年3月で終了することから、一転して倒産が増加に転じる懸念がある。



電子行政手続き、半数を廃止

政府は2002年制定の「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」に基づき各府省がオンラインで利用できる6973もの行政手続きのうち、利用実績の少ない3488を廃止することにした。政府方針ではすべての行政手続きをオンライン利用とする方針を掲げていたものの、システム保全費用に対して利用度合が低いものを廃止とした。廃止のうち、1825の手続きは3年間で利用ゼロだった。



11都道府県、最低賃金と生活保護が逆転

厚生労働省のまとめによると、最低賃金で労働した場合の収入が生活保護の給付水準を割り込む地域が全国11都道府県に達したことが分った。前年度の最低賃金改定時点から逆転地域が8都府県増加している。最低賃金で1か月間働いた収入から社会保険料などを差し引いた手取り収入と生活保護の給付水準とを地域別に調べたもので、逆転地域が急増した背景には社会保険料の増加で手取り収入が減少したことが響いた。最低賃金改定は、中央最低賃金審議会は7月末に引き上げ額の目安をまとめられ、地方の審議で10月頃に改定される。



協会けんぽ、累積赤字から一転

全国健康保険協会(協会けんぽ)は2011年度決算見込みが2586億円もの単年度黒字となると発表した。このため前年度末まであった累積赤字638億円を一気に解消し、新たに1947億円の準備金を計上した。保険料率を全国平均で9.5%に引き上げたことや、給与の減額幅が当初見込みより下回ったことにより黒字を達し、累積赤字を解消したことになる。



国民年金加入者の4人に1人が無収入

厚生労働省の調査結果によると、国民年金加入の24.6%が無収入だったことが判明した。「公的年金加入者の所得に関する実態調査」によるもので、2009年の国民年金加入者の平均年収は159万円だった。年収階層別にみると、収入なしを含め50万円以下は38.0%に上り、50万円超から100万円以下は16.7%となり、実に100万円以下が54.7%と過半数を占める実態が明らかになった。国民年金保険料(月額14,980円)の納付率が過去最低を更新している実態にあって、低所得を理由とした未納を浮き彫りにしている。



臓器提供の意思表示は11%止まり

日本臓器移植ネットワークの意識調査によると、脳死や心停止後に臓器を提供するかという意思表示をしている人は11%に止まることが分った。2010年の改正臓器移植法で、本人の書面による意思表示がなくても、家族の同承諾があれば脳死で臓器提供できるようになっており、同ネットワークでは「運転免許証や健康保険証に専用欄が設けられ、本人意思を示す方法は増えており、有事に家族が困らないためにも明記して欲しい」と呼び掛けている。



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